会社を設立しようとする人は、それまでに一度は会社勤めやアルバイトを経験したことがあるのではないでしょうか？その時、給与明細をみたとき、毎月、支給金額から差し引かれているものがあったはずです。そうですね、所得税や社会保険料などですね。サラリーマン時代は、所得税を毎月自ら計算せず、年末調整を経て全て会社にやってもらっていたわけです。大変ラクな制度でした。これを、源泉徴収制度といいます。

一転して、源泉徴収義務者！になります。
会社を設立すると、今度は雇用する者に対して同じことをしてあげなければなりません。
即ち、人を雇用することは「源泉徴収義務者」になることを意味します。
所得税法上では、給与・賞与・退職金、税理士等への報酬、外部業者への原稿代などを支払う場合には一定の所得税を天引きして徴収しなければならない、と規定しています。そして、天引きしなかった場合には、天引きすべき税金の納付義務を、徴収義務者である会社に負担させることにしています。
大変ですね。仮に、給与支払いのとき所得税を源泉徴収しないで払い続けた場合
膨大な納税義務が一度に発生し、その支払資金に窮することになります。
また、ペナルティ－としての延滞金などが馬鹿にはなりません。源泉所得税を法定納付期限までに納付しなかった場合には、納付すべき税額の本税の１０％が不納付加算税としてかかります。つまり法定期限を１日でも経過すると即１０％がかかります。さらに、このほかに、期限から実際納付日までの日数に応じて延滞金が７．３％から１４．６％で課税されます。

税金の納付はいつ？
会社は従業員への給与の支払いや税理士等への報酬支払の際に源泉徴収した所得税を、毎月末に集計し、原則として翌月１０日までに税務署へ納付することになっています。その手続きは、会社が自ら「徴収高計算書」（納付書）に記入し金融機関または所轄税務署へ持参し納付します。例外として、従業員が１０人未満の小規模事業所では、あらかじめ税務署に届け出れば１月から６月までの上半期分を７月１０日までに、また、７月から１２月までの下半期分をまとめて翌年１月１０日までに納付する方式を選択することができます。これを「納期の特例」と言います。

給与と外注契約のトラブルとは？
雇用契約による給与支払いは源泉徴収が必要だが、請負契約による外注業者への支払は源泉徴収の必要がありません。たとえ、請負契約による外注支払いの場合ならば、自らの報酬を自ら計算してくるのが建前ですが、そうではなく、毎月定額が支払われ請求書が作成されていない、賞与の支給がある、材料は会社持ち、などの場合には実態判断で雇用契約であると認定され、税務署とトラブルになることがよくあります。
従業員から下請け業者にしてくだい、と言ってきた場合には、線引きが不明確となりそうな場合には安易に外注契約を結ぶのではなく、給与として扱う旨をハッキリ示すことが必要でしょう。

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